【津みなみ通信#18】良い透析には良い食事から「鍋・おでん」編
朝晩の冷え込みが強くなり、あたたかいお鍋やおでんがおいしい季節になりました。
体がほっと温まる冬のメニューが、ご家庭でも食卓に並ぶ機会が増えているのではないでしょうか。
一方で透析患者さんにとって、鍋やおでんは「塩分」「水分」「カリウム」「リン」が多く含まれる料理でもあります。
スープ(汁)の中には具材からカリウムやリンが多く溶け出すため、鍋やおでんの汁は飲まないようにすることが大切です。
スープ(汁)を飲んでしまうとカリウムやリンの摂取量が増えるだけでなく、塩分・水分の
とり過ぎにもつながり、透析間の体重増加の原因になります。
ですが、ちょっとした工夫で、鍋やおでんもおいしく、安心して楽しむことができます。
ポイントをまとめたので、ご家庭で作る際に参考にしてみてください。

「鍋料理の上手な食べ方」
①鍋の素に注意
3〜4人前用のパウチに1袋あたり約大さじ1〜1.5杯分ほどの食塩が含まれています。
透析患者さんは1日6gを目安にしていただきたいため、1食で1日分の食塩をはるかに越える量を摂取してしまうことになります。
そのため、パッケージ裏の成分表示を確認していただき「塩分量が少ないものを選ぶ」ようにしましょう。
1番おすすめなのは、鍋の素を使わない「水炊き」や「しゃぶしゃぶ」です。
②〆は控える
〆を食べるころには鍋のスープは煮詰まっているため味が濃くなっています。
そのためのどが渇き飲水量が増えてしまう原因となります。
また、具材のカリウムやリンもスープに溶け出しているため控えてください。
どうしても食べたい場合は、「煮る時間を少なくする」、「お玉に軽く1杯まで」にしましょう。〆を食べるのではなく鍋をおかずとし、ごはんと一緒に食べることをおすすめします!
③あらかじめ取り分けておく
鍋から自分で好きな具材をその都度取っていると、どれだけ食べたのか把握が難しくなります。
そのため自分の分はあらかじめ取り分けておくと食べる量が分かりやすく食べ過ぎを防ぐことができます。
鶏のだしがおいしい!患者様でも楽しめるレシピです!☺
鶏の水炊き
【材料(1人分)】 66kcal、たんぱく質16.4g、カリウム736mg、リン242g、塩分1.4g
・鶏もも肉 50g ・えのき 10g
・豆腐 50g ・生しいたけ 30g
・白菜 50g ・だし昆布 5cm角
・白ネギ 20g ・青ねぎ 5g
・にんじん 20g ・七味唐辛子/すりおろし生姜 適量
【作り方】
1.鍋に3分の1ほど水を入れ、だし昆布をつけておき火にかける。
2.材料を食べやすい大きさに切る。
3.沸騰したらだし昆布を取り出し、鶏肉を入れる。
4.煮立ったら他の野菜を入れる。
5.青ねぎは小口切りに切っておく(市販のカット青ねぎでも可)
6.火が通ったものからポン酢を入れた皿によそって、お好みで5の青ねぎと七味唐辛子またはすりおろし生姜をかける
【ポイント】
☆市販の鍋の素は使わず、昆布で出汁をとる
☆薬味を使うことで、ポン酢が少なめでも美味しく食べられる
☆鶏肉を豚肉や肉団子、魚などに変えれば飽きずに楽しめる

おでんの上手な食べ方
①練り物だけを選ばない
練り物には塩分やリンが多く含まれています。そのため、練り物ばかり食べていると体内のリン濃度が上がってしまいます。また、練り物に含まれるリンは「無機リン」と呼ばれる体内で吸収しやすいものであるため、食べ過ぎには注意です。
②おでんのつゆは飲まない
つゆの中には塩分やリンが多く溶け出しており、またつゆを飲むことで喉が渇き飲水量が増えるため飲まないようにしましょう。コンビニ等で買う際には「つゆは入れないでください」と伝えるといいですね。
③具材は事前に下茹でをする(茹でこぼす)
味が染み込みやすくなるだけでなく、リンやカリウムを減らすことができるため10〜15分ほどしっかり茹でこぼしてください。
④バランスよく食べる
おでんを主食とするのではなく、おかずとしてごはんと一緒に食べるようにしましょう。他に野菜などを使った副菜もあればベストです。
おすすめの具材
・大根:切り込みを入れることで味が染み込みやすくなるだけでなく、さらにカリウム
を控えられるためおすすめです!
・卵:たんぱく質がしっかりとれるためおすすめです!1個を目安にしてください。
・こんにゃく、しらたき:リンが少なくよく噛む食材のため食べ応えも◎
・牛すじ:リン、塩分が少なく、食べ応えがあるためおすすめです!
⚠︎おでんに使われる主な具材の成分表⚠︎
| 具材(調理前) | 食塩相当量(g) | リン含有量(mg) |
|---|---|---|
| はんぺん(三角1切50g) | 0.8 | 55 |
| ちくわ(1本30g) | 0.7 | 33 |
| さつま揚げ(1枚30g) | 0.6 | 21 |
| 厚揚げ(三角1切50g) | 0 | 75 |
| 卵(1個) | 0.2 | 85 |
| 牛すじ(1本30g) | 0.1 | 7 |
| こんにゃく(三角1切50g) | 0 | 3 |
| 大根(厚さ1cm1切50g) | 0 | 9 |
このように工夫することで冬のおいしい食事を楽しんでください😊
食事のことで気になることがあれば気軽にスタッフ・栄養士にご相談ください。